Curriculum 2026 明治学院共通科目ガイドブック
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各外国語紹介ドイツ語圏へ!24ドイツ語圏へ!グリム童話とメルヘンの伝統音楽 外国語を勉強するということは、文法を学ぶことや語彙を 学ぶことにつきるものではありません。その言語をはなす人々がいるのであり、その人々には文化があり歴史があります。その部分を切り離して外国語を学んでも、まったく意味がありません。ドイツ語を学びながら、ドイツ語圏の文化や歴史のさまざまな側面にふれていただきたいと思います。そこには、わたしたち日本人にもたいへん興味深いことがたくさんあります。ここでは、そのうちのいくつかの観点を紹介します。 ヤーコプ・グリムとヴィルヘルム・グリムの兄弟が、ドイツの民衆の間で語り継がれてきたメルヘンを 集めて編集したものがいわゆる『グリム童話』です。『グリム童話』のなかには「白雪姫」、「赤ずきんちゃん」、「ヘンゼルとグレーテル」など日本でもよく親しまれている物語があります。今日においても、古くから民衆が語り伝えてきたメルヘンには深い味わいがあり、その魅力は色あせることがありません。そこには、 世代を越えて通用する民衆の知恵が保存されているからです。 グリム童話以外にも、ドイツ語圏には面白いメルヘンが数多くあります。たとえばE.T.Aホフマンはドイツ・ロマン派の重要なメルヘン作家です。ホフマンの『くるみ割り人形』は、チャイコフスキーのバレーの原作となったことからもよく知られています。幻想的なメルヘンは、今日に至るまでドイツ文学の伝統 のひとつとなっています。ミヒャエル・エンデの『モモ』や『はてしない物語』をご存知ですか?これらの 作品は、『グリム童話』以来のドイツにおけるメルヘン文学の伝統の上にあります。また、20世紀を代表する小説家といってよいフランツ・カフカの文学は、「アンチ・メルヘン」であると言われることがあります。カフカの代表作『変身』は、朝起きると毒虫に変身してしまっていた男の物語です。ハッピーエンドで終わることのない悪夢のような世界を描くカフカは、今日に至るまで世界中の文学に大きな影響を与えています。たとえば村上春樹の小説『海辺のカフカ』は、カフカの文学世界とさまざまな関係をむすんでいます。 ドイツ語圏では伝統的に音楽がさかんです。バッハ、ベートーヴェン、シューマン、ワーグナー、ブラームスはドイツの作曲家です。モーツァルト、シューベルト、ヨハン・シュトラウス、ブルックナー、マーラーはオーストリアの首都ウィーンで活躍しました。かれらの作品のなかには、ドイツ語のタイトルやドイツ語の歌詞を持つものがたくさんあります。ドイツ語が分かれば、クラシック音楽をより深く理解することができるはずです。バッハが生まれたのは1685年です。300年以上も前につくられた音楽が、今日でもわたしたちの心を打つのは 音楽

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