Curriculum 2026 明治学院共通科目ガイドブック
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CURRICULUM2026明治学院共通科目ガイドブック各外国語紹介ベルリン大聖堂25プロテスタントなんとも不思議で、素敵なことではありませんか。 モーツァルトやシューベルトが活躍したウィーンは、音楽の都と呼ばれています。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤー・コンサートは、日本でもお正月にテレビで放映されています。ウィーン少年合唱団も人気があります。ウィーンはまた、美術の都でもあり、素晴らしい美術館が複数あります。ぜひともいつか訪れていただきたい大変魅力的な都市です。とくに世紀末ウィーンを代表するグスタフ・クリムトの絵画は、一度見たら忘れられない独特な世界をつくりだしています。クリムトと同じ時代に、やはりウィーンで、ジークムント・フロイトによって精神分析学がつくりだされたことも付けくわえておきます。精神分析学のもう一人の重鎮カール・グスタフ・ユングはスイスの学者です。20世紀の深層心理学は、ドイツ語圏で生まれたのです。 ドイツ語圏の音楽文化は、もちろんクラシック音楽だけではありません。ドイツはテクノ・ポップの中心地でもあります。ドイツのデュッセルドルフで活動をはじめたテクノ・ポップの古典的グループであるクラフト・ワークの作品は、今日聞いても新鮮です。そのような下地もあり、ベルリンでは年に一度「ラヴ・パレード」というテクノ・ポップの祭りが開かれています。 ドイツは、明治学院大学と深いかかわりのあるプロテスタントが生まれた国です。ドイツの宗教者マルティン・ルターがカトリック教会に抗議するために書いた「95ヶ条の論題」(1517年)によって宗教改革がはじまり、プロテスタント運動につながっていったことは、高校の歴史の授業などでお聞きになったことがあるでしょう。その過程でルターは、聖書をドイツ語へ翻訳します。それによってギリシア語原典やラテン語訳が読めなかった民衆も、聖書を読むことができるようになったのです。このルターのドイツ語訳聖書が、近代ドイツ語の発展に大きな影響を与えました。当時の最新メディア技術であったヨハネス・グーテンベルクの活版印刷術によって、ドイツ中に広くドイツ語訳聖書が広まったのがその一因です。 現在のドイツでは35%がプロテスタント系で36%がカトリック系です。ごくおおまかにいって、ベルリンに代表されるドイツの北半分がプロテスタント文化圏で、ミュンヘンに代表されるドイツの南半分がカトリック文化圏です。ちなみに他のドイツ語圏では、オーストリアがカトリック文化圏、スイスがカトリックおよびプロテスタント文化圏です。日本から見ると、プロテスタントもカトリックも同じキリスト教ではないかと思ってしまいがちですが、それぞれがまったく違った文化圏をつくりあげていることは、観察しながら旅行してみるとよく分かります。ひとびとの考え方の違いはもちろんですが、建築物や街の風景がそもそも非常に異なっているのです。

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