Curriculum 2026 明治学院共通科目ガイドブック
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65●レポート課題●教室での活動1  簡潔な主張をもつ段落を単位として論文を構成する方法(paragraph writing)2  先行する資料を公正かつ効果的に示す、典拠資料の表示や引用など「帰責attribution」の作法3  自分の文章を批判的に手直しし、無駄なく読みやすい表現にする推敲の方法4  学術的に信頼できるデータベースをもちいた資料検索の方法 これらのうちより本質的であるとともに、多くの受講者が苦しむのが「 1 」と「 2 」です。「 1 」のパラグラフ・ライティングは、日本ではまだ一般化していませんが、英語圏では論文書法の基本とされ、初心者にただちに役立つ論理構成のスキルです。「 2 」の引用や典拠表示の作法は、他人の表現やアイディアを公正に示すための約束ごとです。このルールを身につけずにレポートを書くと、他人の文章を自分の名前で発表したり(剽窃)、他人が言っていないことを言ったかのように示したり(捏造)することになり、不正行為として処分の対象ともされます。しばしば文章の上手下手ではすまされない、人間性の問題とみなされるため、厳しく指導します。 こうした技術を身につけないまま生成AIを利用すると、不正確な情報を用い、知らぬ間に剽窃や推敲を重ね、論理的誤りに満ちたアイディアを自分の書いた文章として公表することになります。このため「アカデミック・ライティング演習 1 」「アカデミック・ライティングの基礎」では、生成AIについては一切の使用を認めません。AIの誤りを見ぬき正しく使いこなすには、身ひとつで論証する知力が必須なのです。 こうした技術を体験的に身につけるため、受講後 4 日ほどでレポートを 1 本提出し、翌週の授業で担当教員の添削を受け取ります。このうち作業量が大きいレポートを学期中盤に 1 回(1,600字程度)、期末に1 回(4,000字程度)課します。成績評価上の比重も大きいこれらのレポートの執筆中には、個別面談を受けます。また学期中盤のレポートでは、担当教員による添削を受けたうえで再提出する機会があります。再提出のさい自分の文章を批判的に読みなおすことにより、叙述や論理構成の欠陥や基本的なスキルの不足に気づき、ひとりで推敲する力が身につきます。レポートを書く学生の多くが、どのように課題に答えるか以上に悩むのが、まず何を問うかです。この授業では、ペアやグループでのディスカッションなどの協同作業のなかで資料を消化し、背景情報を整理することにより、問いの立て方を学べるよう設計されています。学期の 4〜 5 回ほどを、こうしたアクティブ・ラーニング型授業とします。教室での活動をとおし、論理的なコミュニケーション能力を育てることCURRICULUM2026明治学院共通科目ガイドブック選択科目の紹介 

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