HTML5 Webook
13/56

9中退及び転科者)の日本語学習経験と人生のつながりを追究したことを確認した。さらに、生涯教育論、及び「移動とことば」研究のバイフォーカル(bifocal)なアプローチの概念を枠組みとし、質的研究法を用い実施した三つの調査研究を示した。 続いて、分析の結果として、日本語専攻学生の日本語学習経験は、「学習と人生のつながりの軸」の一要素として、学生の人生とつながっていること、また、生涯における学習を連繋する基点を構築すると同時に、垂直的視点(時間)・水平的視点(空間)の「移動」との相互依存的関係性(共振、原動力、一体)をもつことが明らかになったことを確認した。そして、考察の結果として、外国語の教育実践者が「学習と人生のつながりの軸」の形成と意識化という視点をもって教育実践を行うことで、海外の日本語教育及び日本の大学の第二外国語教育が、グローバル時代の人生を歩む外国語学習者の移動性を踏まえた「生涯にわたる言語学習」を支援する教育へと変わる可能性を示した。また、上述したような日本語教育を含む外国語教育が質的に転換する必要性と可能性を示した上で、外国語教育や教養教育に携わる先生方と、「ことば」の学びに寄り添うことについて議論をさせていただいた。本研究は科研費(21HP5053)の助成を受けたものである。

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る