研究所概要報告月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告公開講座研究プロジェクト報告研究業績23The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Arts 「東京宣言文」は三項目にわたる今後の方針、実践決議を提示する。すなわち 1)「民主主義を復活させるため、あらゆる形態の国民的連帯を樹立」、 2)「キリスト者の連帯を強化、殉教もいとわない」、 3)「世界教会との、キリストによる共同の紐帯」である。 社会の変革のため、貧しく苦しむ隣人と共に暮らし、真理を証し、死に至るまで民衆の解放のために政治的抑圧に抵抗し、歴史の変革に参加することが、イエス・キリストの「メシア国」を宣言するものだと確信するものなのである。 「東京宣言文」が作成され、発表、拡散される過程で、特に日本のキリスト者、そしてアジアと欧米教会の協力者たちの献身的貢献は、物質的にもまた人間的にもすべてを網羅して多大だった。ただそれらが全体的としては把握できるが、その貢献の細かい実状までが明らかになっていないのは、協力者たちがもつ当初の意志であるとともに、独裁政権の暴圧的抑圧のなかほとんどの活動が匿名、秘密を維持して遂行されるしかなかったことによる結果でもある。当時はほとんどの資料を削除、消滅させて運動が進められたのであり、史料と記憶の亡失に起因する側面もある。 「東京宣言文」は信仰告白的な、神学的文書である。「三位一体論」に基づく聖父聖者聖霊の属性と役割を、キリスト教の伝統、伝承、聖書的理解から確認している。しかし、そうした正統神学の基盤を堅持しながら、歴史の中で「神の国」の実現、すなわち「東京宣言文」の最も重要なキーワードである「メシア国」を宣言し実現していくという点を強調している。これは歴史の変革に信仰的決断をしたキリスト者が参加し実践するための目標である。 「東京宣言文」は韓国キリスト教民主化運動の先駆的指標を掲げた宣言であり、アジア諸国のキリスト教の政治社会に対する抵抗運動にも大きな影響を及ぼした。そしてまたひとつの意義として、日韓両国の肯定的関係、特に日韓キリスト教関係史における最も重要な協力と連帯として、明るい可能性を提示してもいる。日韓関係、日韓キリスト教の関係は、これによってそれ以後どのような状況下でも稼働可能な友好、善隣、協力のチャンネルを持つようになったのである。
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