研究所概要報告月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告公開講座語学検定講座報告研究プロジェクト報告研究業績68The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Arts3 新たな被害想定を踏まえた港区の取組 港区では、こうした新たな被害想定を踏まえ、即座に、迅速な情報発信、共同住宅の震災対策、帰宅困難者対策の強化などに取り組んでいる。 まず、情報発信としては、災害時の被害の情報や避難所などの開設状況、避難指示などの情報を管理し、今までよりも迅速に区民へ情報を届けられるようなシステムの構築を進めている。区からの情報発信のツールとしては、このシステムを中核とし、防災情報メール、港区防災アプリ、港区防災ラジオといったものがある(図2)。 次に、区民の9割が住んでいる共同住宅への対策として、エレベーターへの閉じ込め対策を進め上の範囲が区部の半分以上に広がり、建物の被害は約19万4千棟、死者が約6,150人と想定されている。都心南部直下地震は、品川区南部から大田区北部あたりが震源になるとしているが、この地区が最も大きな地震が発生する地域であるといった意味ではない。首都直下地震は、都内のどこでも起こり得る。新幹線や空港などの交通網の被害や木密地帯の火災延焼の観点から、都心に甚大な被害が想定される場所として設定がされている。(2)港区の被害想定 冬の夕方、風速8メートルと最も大きな被害が想定される状況下で都心南部直下地震が発生した場合、港区の被害として、死者は、127人、負傷者は5,274人、建物全壊が782棟、帰宅困難者が53万人を超え、避難者は約58,000人、エレベーターの停止による閉じ込めが1,357台などと推計されている。 前回、平成24年の被害想定とは、想定地震が違うことや、計算の方法なども見直されてきていることから単純比較はできないが、避難者、帰宅困難者、エレベーターの停止による閉じ込めといった被害は、増えている。 港区全体の特徴だが、非木造、中高層の建物が多く、木造建物は3割程度となっている。木造建物は少ないが、その半数以上が、旧耐震基準の年代に建てられたものとなっている。昼間人口が多い、外国人居住者が多い、品川駅などの乗降客が多い駅や、六本木ヒルズ、お台場エリアなどの商業施設が立地しているということも特徴としてあげられる。 港区は、海側の地区もあれば内陸部の地区もあり、地区ごとに特徴がある。たとえば、新橋などの芝地区は、単身世帯が多く、子どもが少ない。平日の昼夜間人口比率は9.35倍と区内の5つの地区の中で最も高くなっている。そして、ここ明治学院大学がある高輪地区は、木造建物が区内の5つの地区の中で最も多くなっており、高齢者が多く住んでいる。平日の昼夜間人口比率は、芝と異なり5つの地区中で最も低くなっているが、乗降客が多い品川駅を抱えている。港区で防災対策を進めていくうえでは、こうした地区ごとの特徴も踏まえる必要がある。
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