研究所概要報告月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告公開講座研究プロジェクト報告研究業績72The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Artsプロジェクトメンバー:植木献、野副朋子、塩谷祐人 適切な食べ物の選択は生理的な感覚から、社会的な関係、象徴操作に関わる思想や宗教にいたるまで途切れることなく人間らしさをかたちづくっているため、一見客観的な指標を提示する栄養学もこうした営みの外にあるわけではない。 最新の栄養学とレシピの価値判断、そして宗教規範を、人間の身体感覚から問い直すことで「適切な食べ物」と栄養学との関わりを文献研究のみならず、実験と検査を通じ、複層的なものとすることが本プロジェクトの目的である。 2023年度は食の選択と嗜好がどの程度直接的な味覚に依存するかを調べ、分析するために学生を対象とした以下の調査を行った。調査の目的は食べ物の「美味しさ」をどう感じるか、ヴィーガン食が美味しさにおいて代替食となりうるのかを比較的なじみのある食材の試食により明らかにすることである。また文学や活字に触れる習慣と味の言語化の相関関係についても分析を行う予定である。 1)食生活、読書週間などについてのアンケート 2)官能評価の前提となる基本味および基本臭の識別能力のテスト 3) ハンバーグ(松坂牛、レトルト、大豆ミート)、ラーメン(名店、ヴィーガン)の判別テスト、および消費者型官能評価 4)アミラーゼ分析によるストレスチェック 2回目の調査を現時点でまだ実施できていないため、全体としての分析結果を明らかにすることができないが、美味しいと感じた理由が舌で感じた食材の味だけではない被験者が目立ち、高価なものを必ずしも美味しいとは感じていないケースが一定数見られた。 今後こうしたデータをアンケート結果とあわせて、言語表現と味覚との相関関係を分析する予定である。研究プロジェクト報告食の選択と栄養学研究
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