研究所概要報告月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告公開講座研究プロジェクト報告研究業績73The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Artsプロジェクトメンバー:土屋陽祐【目的】 実行機能または遂行機能は、認知機能の中でも上位に位置すると考えられ、その働きによって反応を抑制したり一連の活動を計画的に行うなど、将来の目標のために適切な問題解決を行う機能である(Pennington and Ozonoff 1996)。実行機能が低下すると、他に注意が向き目の前のことを忘れてしまう、順序立てた行動が取れなくなる、自分が抑制できなくなるといった諸症状が現れることが確認されている。実行機能の評価には、Go/No-Go課題が広く使用されている。Go/No-Go課題とは、特定の刺激のみに反応し、その他の刺激に対しては反応しない機能であり、Go反応時の反応時間、およびエラー率を実行機能として評価する。 近年、運動が身体と精神の健康だけでなく、脳の健康にも関与していることが明らかとなっている。特に実行機能の向上に対する習慣的運動の関与が報告されている(Hillman et al. 2008)。例えば、6ヶ月間の有酸素トレーニングによって高齢者の実行機能が向上することが示されている(Kramer et al. 1999)。また、有酸素運動だけでなくレジスタンストレーニングの効果も報告されている(Best et al. 2015)。これらの運動・トレーニングは実行機能の中でも、とりわけ抑制機能との関連が強いことが示されている。 しかしながら、運動・トレーニングと実行機能との関連を検討した研究は対象が高齢者や幼児・児童に限られており、若年者を対象とした研究は少ない。そこで本研究は、日頃から運動習慣のある体育会系の部活動に所属している大学生と、運動習慣のない大学生を対象にGo/No-Go課題を測定・評価することを目的とした。【方法】1. 対象者 対象は、体育会系の部活動に所属している大学生6名(以下, アスリート学生)と、運動習慣のない大学生5名(以下、一般学生)とした。2. 実行機能 実行機能はタブレット型のパソコンとスイッチを用いてGo/No-Go 課題による高次神経活動の調査を実施した。Go/No-Go課題は、形成段階(T1)、分化段階(T2)、逆分化段階(T3)の3つのテストで構成された。T1は、パソコン画面に赤色が出たらスイッチを押すという指示を与え、間隔をランダムに5回赤色を呈示した。T2は赤色が出たらスイッチを押すが、黄色は押さないという指示を与え、赤色と黄色をランダムにそれぞれ11回ずつ、間隔もランダムに呈示した。T3は黄色が出たらスイッチを押すが、赤色は押さないという指示を与え、赤色と黄色をランダムにそれぞれ11回ずつ、間隔時間もランダムに呈示した。それぞれのテストにおける正反応時の反応時間およびT2とT3の誤反応の回数を実行機能の指標とした。研究プロジェクト報告運動特性や運動習慣が実行機能に及ぼす影響
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