HTML5 Webook
80/92

研究所概要報告月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告公開講座研究プロジェクト報告研究業績76The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Arts3 結果および考察 現在、キャリングおよびフォア スイズルについては分析を継続中であるため、本報告書では、分析を完了しているフォア スケーティングおよびバック スイズルの動作について考察する。 Fig.1は初心者および上級者におけるフォア スケーティング動作中の各筋のR-EMGを示したものである。左足接地期直前(50%Time当たりで、支持脚が右脚から左脚に切替わる相)の局面において、上級者の右脚のSOLおよびMGでは急峻で顕著な筋活動が認められているのに対し、初心者のSOLおよびMGの筋活動では顕著な筋活動の増加は認められず、各筋におけるMax levelの30%以下および60%以下であった。このことは、上級者は支持脚が右脚から左脚に移行する直前から右脚SOLおよびMGの筋活動が増加し、高い足底屈トルクを発揮して、結果的に床をより強く膝関節を連続的に屈曲・伸展させ、滑走した軌跡がひょうたん型になるように滑る基本技術である。 被験者には本実験の目的と内容を説明し、実験参加の同意を得た。2.2 筋電図および加速度の計測 表面筋電図(EMG: Electromyography)は、無線筋電図計(Trigno Wireless System 、DELSYS社製)を用いて、右脚のヒラメ筋(SOL)、腓腹筋内側頭(MG)、前脛骨筋(TA)、外側広筋(VL)、大腿直筋(RF)、内側広筋(VM)、大内転筋(AM)からサンプリングレート2000Hzにて導出した。なお、各電極はPerotto(1997)8)を参考にして貼付した。また、右足上部に3軸の加速度計を固定し、足部の動きも同時にサンプリングレート500Hzで計測した。EMGおよび加速度データは、PowerLab(ADInsturments社製)を使用してA/D変換し、PCにデータを取り込んだ。2.3 実験プロトコル 各被験者はウォーミングアップ後、電極および加速度計を装着し、続いてフォア スケーティング、キャリング、フォア スイズル、バック スイズルの順で実験タスクを行った。全ての実験タスクは2回ずつ実施し、よりクリアな筋電信号を取得できた実験タスクの方をデータ処理に用いた。2.4 データ処理 全ての筋電信号はデジタルフィルター(バンドパス:20Hz〜500Hz)処理を施した後、全波整流し(R-EMG:Rectified EMG)、続いて各動作中のR-EMGの最大値に対する割合を求め、筋活動パターンの観察に供した。なお、各動作については、動作時間が異なるので、規格化したうえで図示した。加速度データのうち、X軸(踵・つま先方向)、Y軸(足部の内側・外側方向)方向の加速度については2Hzのローパスフィルターを通して足部の動きを観察した。Z軸(足底・足背方向)方向の加速度はフィルター処理を行わず、足部の接地のタイミングを確認するために活用した。

元のページ  ../index.html#80

このブックを見る