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研究所概要月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告研究プロジェクト報告研究業績14The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Artsまとめ  本研究は、横浜市における2019年から2023年の5月から9月までの気象庁の過去の環境データの解析を行い、5年間の WBGT(Wet-bulb Globe Temperature Index)を推測し、熱中症発生 データとあわせて、熱中症の実態と対策について検討した。熱中症の発生は、近年、梅雨入り後、気温とWBGTが急激な上昇に伴って発生するとともに、梅雨明け後の7月下旬から8月中旬にかけてピークがある。気温が30℃以上、WBGTが28℃以上では、発生件数が多くなる。気温が低くとも湿度が高い場合は、熱中症が発生する。熱中症対策として日常生活においても、こまめな水分補給と適度な休養、ならびに、本格的な暑さの前に暑熱順化することの必要性が示唆された。年齢階級別症状別の発生率は、高齢者が中等症以上の発生が多いことが明らかとなった。高齢者の熱中症を予防するには、部屋に温度計やWBGT測定器を設置し、夏日以上が続く時は、室温が28℃を超えない程度で、積極的に冷房を使う必要がある。遮光性日傘 は、直射日光を遮り、暑熱環境を軽減でき、脱水も軽減できることが明らかとなり、熱中症予防として有効利用できることが明確となった。【参考文献】1)環境省(2022):熱中症環境保健マニュアル2022. p11. 2) 横山太郎, 福岡義隆:日本各地における熱中症発生の頻度とその傾向に関する研究. 日本生気象学会雑誌, 43(4), (2006), 145-151.3) 星秋夫, 中井誠一, 金田英子, 山本亨, 稲葉裕:わが国における熱中症死亡の地域差. 日本生気象学会雑誌, 47(4), (2010), 175-184.4) 赤塚慎, 宇野忠, 堀内雅弘:山梨県における熱中症発生の地域特性. 日本生気象学会雑誌, 51(1),(2014), 23-36.5) 気象庁:過去の気象データ. https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php(2023/11/30閲覧)6) 新矢博美, 中井誠一, 芳田哲也, 常岡秀行, 高橋瑛一: 高温環境時の体温調節応に及ぼすフェンシングユニフォームの影響. 体力科学, 52,(2003), 75-88.7) 中井誠一, 寄本明, 森本武利:環境温度と運動時の熱中症事故発生との関係. 体力科学, 41, (1992), 540-547.8) 横浜市(2024):熱中症救急搬送状況. https://www.city.yokohama.lg.jp/bousai-kyukyu-bohan/kyukyu/heatstroke/statistics.html(2024/1/30閲覧)9) 中井誠一, 新矢博美, 芳田哲也, 寄本明, 井上芳光, 森本武利:スポーツ活動および日常生活を含めた新しい熱中症予防対策の提案―年齢, 着衣及び暑熱順化を考慮した予防指針―, 体力科学, 56,(2007), 437-444.

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