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研究所概要月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告研究プロジェクト報告研究業績27The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Arts  (Ex:旅人の例/物体の配置と光量の例)われわれが事物を見るときの明瞭さの度合いによって、われわれはその事物がより近くにあると判断する。不慣れな旅人は、山頂と山頂とのあいだの距離の目測において、大きな過ちをおかす。そして、じゅうぶんに照らされていない物体は、実際よりも遠くにあるように見える。そのため、もしランプが距離に比例して光が強くなるように並べられていたら、より遠い物体の方が近くに見えるだろう。(Jules Lagneau, ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ PUF, 1950, p.165)4) Q:習慣的判断は誤ることもあるのかA:習慣は、対象のより正確な知覚へと導く一方で、誤謬の原因にもなりうる  (Ex:歩兵のズボンおよび紙片の例)われわれは、自分とものとの間にある環境の与える色がそのままに見られることはめったにない、というのを知っている。反対に、われわれはそこに色を見るのだが、その色というのは、対象が有しているとわれわれが知っている色である。歩兵の赤いズボンは、本当は距離の影響でその本当の色が限りなく灰色に近い色であったとしても、なおも赤く現れるのである。また、手に持った白い紙片を見ながら薄暗い場所から明るい場所に移動するとき、実際に知覚されている色は大きく変化しているにもかかわらず、この紙片に同じ白さを貸し与える。画家たちは、本当の色、つまりわれわれが感じるべきであろう色を見出す術を知っている。真の色をみるためには、頭を切り替えれば良い。そのときわれわれは事物をそれと認識しなくなるだろう。かくして、われわれはそれら事物がもつべきだと考える色について、何の先入観ももたなくなる。(Jules Lagneau, ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ PUF, 1950, p.163)・「本当の色」と「われわれが知っている色」は必ずしも一致しない     →・ 錯覚の現象は、対象が特定の性質を有すると感覚するからそのように判断するのではなく、対象がその性質を有すると判断するからそのように知覚することを示している5) Q:精神のはたらきはわれわれにどのように意識されるのか?A: 対象が何であるかを判断する精神の能動的なはたらきが発揮されているときには、その能動性に気づくことができないが、そのはたらきが円滑でない場合には意識される

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