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研究所概要月例研究報告ランゲージラウンジ活動報告語学検定講座報告研究プロジェクト報告研究業績42The Annual Report of the MGU Institute for Liberal Arts26年度御猟場名予算習志野原御猟場2,026円1,439円1,787円1,207円1,863円1,283円1,863円1,513円1,863円1,487円連光寺村御猟場889円445円620円348円738円372円738円395円588円398円江戸川筋御猟場2,597円2,393円2,540円3,771円3,597円3,224円3,597円4,460円3,831円3,687円1,435円1,419円1,380円1,028円1,435円1,068円1,435円1,230円1,435円993円日光御猟場岩瀬御猟場930円570円938円523円757円510円757円622円757円537円長良川筋御猟場800円232円748円218円744円570円744円372円744円363円涌谷御猟場95円『自明治廿四年至同廿六年 会計予算決算録』(宮内庁宮内公文書館所蔵、識別番号21215)、『明治廿七年同廿八年 会計予算決算録』(宮内庁宮内公文書館所蔵、識別番号21216)、『明治廿九年同三十年 会計予算決算録』(宮内庁宮内公文書館所蔵、識別番号21217)より筆者作成※銭以下は省略280円27年度決算予算決算230円39円59円28年度予算決算予算194円194円35円29年度30年度決算予算決算35円194円まうという騒動を起こしている。これなどは、服務規程がない中、監守が懸命に職務を遂行しようとしていた中で生じた問題だといえよう32)。【表】明治26年〜30年各御猟場予算・決算一覧表 【表】は、涌谷御猟場が設置されていた時期の、同御猟場と他の御猟場の予算・決算額を比較したものである(ただし、明治25年は涌谷御猟場の設置期間が短いため省略した)。一見してわかるように、涌谷御猟場は、予算・決算とも、他の御猟場と比べ圧倒的に少ない。ただ、前年度の決算額如何にかかわらず、毎年その決算額の5倍程度が予算として組まれているあたり、宮内省が涌谷御猟場を蔑ろにしているようにも見えない(26年度を基準にすると予算額は下げられているが、それは江戸川筋御猟場を除くすべての御猟場に当てはまる)。 上記に関連して、宮内省は明治26年度より、町村手当金として270円を涌谷御猟場へ支給している(上の御猟場予算とは別に計上されたもの)。監守長である遠田郡長鈴木純之進は、この手当金を3分割し、御猟場が所在する元涌谷村・南郷村・涌谷町へ90円ずつ支給することとした33)。住民請願により設置した御猟場であっても、手当の支給という点では他の御猟場と同様の扱いを受けているのである。 以上を見る限り、涌谷御猟場はその設置の目的こそ他の御猟場と異なるものの、狩猟場としての機能をまったく果たしていなかったわけではなく、予算配分の面でも、規模こそ異なるものの、他の御猟場と別個の扱いをされていたわけではないことが確認できる。また、地域住民も涌谷御猟場の維持に尽力していたように見え、他の御猟場では明治20年代以降しばしば生じていた御猟場指定の解除を求める動き34)は、少なくとも現存する文書からは見えてこない。2-2 涌谷御猟場の廃止とその背景 2-1で見たような状況の中、涌谷御猟場は30年9月末日を以て御猟場指定を解除された。 山口正定の日記を見る限り、解除に向けた最初の動きは30年9月7日で、この日、山口が明治天

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