About the Center

教養教育センター長 挨拶

教養教育センター長 渡辺 祐子

明治学院大学には皆さんが所属している学部のほかに教養教育センターがあります。学部との違いで最も分かりやすい点は、教養教育センターには学生が所属していないことです。けれども現在教養教育センターに所属する40名の教員は、全学部の明学生が履修できる科目「明治学院共通科目」を担当しています。学生はいないけれど、全学部に開かれている組織、それが教養教育センターです。

教養教育センターの英訳はCenter for Liberal Arts。リベラル・アーツとは、ギリシャ・ローマ時代の学問を源流とし中世に至って確立した「自由七科」(文法、修辞、論理、数学、音楽、幾何、天文)に由来します。それから長い時を経た現在、リベラル・アーツの意味も目指すところも時代の要請とともに大きく変化しています。しかし、狭い専門領域にとどまらず、幅広い視野に立って多面的にものごとを考えること、実生活にとっての有用性や実利性よりも一見役に立たないように見える営みを大切にすることなどは、過去から継承され続けているリベラル・アーツの基本です。

「明治学院共通科目」には、外国語、哲学や文学などの人文科学、歴史学や文化人類学などの社会科学、数学、化学等の自然科学、そして健康・スポーツ科学にいたるまで実に様々な科目が含まれています。これらの科目を履修することによって皆さんの世界は間違いなく広がることでしょう。世界が広がることはそれ自体ワクワクする経験ですが、「明治学院共通科目」は同時にものごとを深く、広く、様々な側面から考える力を養う助けとなるに違いありません。

昨年来の新型肺炎のパンデミックによって、わたしたちの世界はいま人類史的な転換を迎えています。これまですでに指摘されてきた様々な問題――環境破壊、格差、差別、貧困など――が一挙にあらわになるいっぽうで、豊かな国もそうでない国も全世界が同一の問題に直面するという全く新しい事態が生じています。わたしたちはフィジカル・ディスタンスをとりながら、共通の問題に取り組むために連帯し協同してゆかなくてはなりません。でもどうやって?

「明治学院共通科目」はその手掛かりを与えてくれるはずです。この科目をとおして、難題に挑み思考を鍛えるための栄養をたっぷりつけてください。困難な時代を一緒に生き抜いてゆきましょう。