教養教育センター長 福山 勝也
明治学院大学で学ぶ科目は、自身が所属する学部や学科が提供する「専門科目」と、「明治学院共通科目」の2つに大きく分かれています。この「明治学院共通科目」の主たる開講責任を負っている組織が教養教育センターです。教養教育センターには学生は所属しておりませんが、その一方で、「明治学院共通科目」は学部・学科を問わず、本学のすべての学生が履修しますので、教養教育センターは本学の学生を、いわば横断的に俯瞰できる組織であるといえるでしょう。
教養教育センターの英訳は「Center for Liberal Arts」ですが、この「Liberal Arts」という言葉は、中世ヨーロッパにおいて確立された「自由七科」(文法、修辞、論理、数学、音楽、幾何、天文)に由来します。「明治学院共通科目」には、外国語などの言語系科目をはじめとして、哲学や日本文学などの人文科学系科目、歴史学や文化人類学などの社会科学系科目、生物学や化学などの自然科学系科目、情報処理系科目、健康・スポーツ科学系科目、さらにはAI・データサイエンス系科目にいたるまで、実に様々な科目があります。文系・理系を問わず、ますます複雑化する現代社会においては、誰もその答えを知らなかったり、あるいはそれが無かったり、はたまたいくつもあったりします。表面的な部分だけでなく、その問題の背景を十分に理解し、複眼的で「違った切り口」から多面的にものごとを捉えることができる力が求められます。大学での専門的な学びをより有意義なものとするためにも、「明治学院共通科目」の履修を通して、幅広い視野の涵養と深い知見を修得されることを願っています。
私自身の専門分野は「化学」ですが、いわゆる文系の学部・学科が大部分を占める本学においては、「化学」という分野に苦手意識を持っている人は多く、とかく敬遠しがちかと思います。でも、そこは発想を変えて、「化学」などについても「大学で初めて学ぶ分野」であると思って、捉え直してみてはいかがでしょうか。例えば、高校に「民法」という授業はありませんから、「おれ、民法苦手なんだよ」といって大学に入学してくる人はおそらく誰もいないと思います。興味・関心のある分野の学修をさらに深めていくことはもちろん大切ですが、これまでなんとなく苦手意識を持ってきた分野についても、高校までの「受験」を意識した勉強とは違う、真に教養を深める学修の機会として、ぜひ「明治学院共通科目」を利用してほしいと思います。苦手意識の克服は、上述した幅広い視野の涵養と深い知見の修得の大きな助けとなり、きっとその先で、これまでとは違った自分に出会えることでしょう。